【会社売却Q&A解説】会社売却とは?

Q.会社売却とは?

Answer

会社売却(株式会社)とは、株式を第三者に譲渡することです。

会社売却とは、株式会社の場合、会社の株式を第三者に譲渡することを言います。
会社売却を行うのは「株主」であり、「社長」や「代表取締役」ではありません。非上場会社の場合「株主」と「代表取締役」が同一であることが多いため、代表取締役が会社を売却するという感覚がありますが、実際には「株主」が会社売却を行うのであり、代表取締役の地位は関係がありません

10数年前に「モノ言う株主」が話題となり世間的にも広く認知されるようになりましたが、株式会社の所有者は株主であるということです。

また、これは裏を返せば、会社売却というのは株主が変わるだけであるということであり、会社と従業員との間の雇用契約や取引先との間の契約関係(COC条項がある場合を除く)については何ら変動がありません。

非上場会社の株式を第三者に譲渡する方法は、第三者との間で株式譲渡契約書の取り交わしを行い、株式譲渡契約を締結します。株式譲渡契約書の取り交わし後、売却代金と引き換えに株券の交付(株券不発行会社を除く)をし、株主名簿の名義書換を行います。
株式譲渡契約書の雛形は以下のとおりです。

株式譲渡契約書

【譲り渡し側株主】(以下「甲」という。)及び【譲り受け側】(以下「乙」という。)は、【譲り渡し側(株式会社)】(代表者:○○、本店所在地:○○。以下「対象会社」という。)の発行済株式の全てである普通株式○○株(以下「本株式」という。)の甲から乙に対する譲渡(以下「本株式譲渡」という。)に関し、本日、以下のとおり株式譲渡契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1章 本株式の譲渡

第1条 (目的)
本契約は、対象会社の一層の発展を目指し、本株式を甲が乙に対して譲渡することにより、対象会社の経営権を乙に移転することを目的として、締結する。
第2条 (本株式の譲渡)
甲は、乙に対し、本契約の規定に従い、○○年○○月○○日又は甲及び乙が書面により別途合意する日(以下「クロージング日」という。)において、本株式を譲り渡し、乙は甲から本株式を譲り受ける。
第3条 (譲渡価格)
本株式譲渡における本株式の対価(以下「本譲渡価額」という。)は、金○○円(1株あたり金○○円)とする。
第4条 (本株式譲渡の実行)
1 甲は、乙に対し、クロージング日に、乙から本譲渡価額の支払を受けることと引換えに、次の各号の書類を交付する。
① 甲の印鑑証明書
② 本株式に係る株券
③ 第5条第2号及び第9条第1号に定める本株式譲渡を承認した対象会社の取締役会決議に係る議事録の原本証明付写し
④ 第12条第1項及び第2項に定める対象会社の全取締役及び全監査役の辞任届
⑤ 対象会社の株主名簿(クロージング日の前日時点でのもの)の原本証明付写し
2 乙は、甲に対し、クロージング日に、前項各号の書類の引渡しを受けることと引換えに、本譲渡価額を支払う。
3 前項の支払は、乙が以下の銀行口座に振込送金する方法により行う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。
銀行支店名 ○○銀行 ○○支店
口座種別 普通預金
口座番号 ○○
口座名義 甲
4 本株式譲渡の効力は、本条第1項に従い行われる株券の交付時に生じる。
5 甲及び乙は、クロージング日において、甲及び乙による本条第1項及び第2項の各義務の履行(以下「クロージング」という。)後直ちに、対象会社をして、本株式に係る甲から乙への株主名簿の名義書換を行わせる。

第2章 前提条件

第5条 (乙のクロージングの前提条件)
乙は、クロージング日において甲について次の各号が満たされていることを前提条件として、第4条第2項に定める乙の義務を履行する。なお、クロージング日において以下の各号の条件が一部でも満たされていない場合には、乙は、第4条第2項に定める義務の履行を拒絶できるが、その任意の裁量により、以下の各号の条件の一部又は全部を放棄することができる。ただし、かかる条件の一部又は全部の放棄によっても、以下の各号の条件が充足したとみなされるものではなく、また、甲は、本契約に基づく表明及び保証の違反に基づく責任その他本契約に定める甲の責任を減免されるものではない。
① 第7条に規定する甲の表明及び保証が、クロージング日において、真実かつ正確であること。ただし、軽微な点における誤りは除く。
② 第9条に規定する甲の義務が全て履行されていること。
第6条 (甲のクロージングの前提条件)
甲は、クロージング日において乙について次の各号が満たされていることを前提条件として、第4条第1項に定める甲の義務を履行する。なお、クロージング日において以下の各号の条件が一部でも満たされていない場合には、甲は、第4条第1項に定める義務の履行を拒絶できるが、その任意の裁量により、以下の各号の条件の一部又は全部を放棄することができる。ただし、かかる条件の一部又は全部の放棄によっても、以下の各号の条件が充足したとみなされるものではなく、また、乙は、本契約に基づく表明及び保証の違反に基づく責任その他本契約に定める乙の責任を減免されるものではない。
① 第8条に規定する乙の表明及び保証が、クロージング日において、真実かつ正確であること。ただし、軽微な点における誤りは除く。
② 第10条に規定する乙の義務が全て履行されていること。

第3章 表明及び保証

第7条 (甲の表明及び保証)
甲は、乙に対し、本契約締結日及びクロージング日において、別紙1に記載の各事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。
第8条 (乙の表明及び保証)
乙は、甲に対し、本契約締結日及びクロージング日において、別紙2に記載の各事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。

第4章 クロージング前の取扱い

第9条 (甲の義務)
甲は、乙に対し、本契約締結日後クロージングまでの間に、次の各号に定める義務を履行するものとする。
① 甲は、対象会社の取締役会をして、本株式譲渡を承認する旨の決議をさせなければならない。
② 甲は、対象会社をして、対象会社の活動を通常の事業活動の範囲内で行わせなければならず、通常の事業活動の範囲外の活動については、事前に乙の同意を得なければ行わせてはならない。
③ 甲は、第7条に規定する表明保証に違反することとなる行為を行わず、違反の事実又はそのおそれが生じた場合、直ちにその旨並びに当該事実又はそのおそれの詳細を乙に対して通知する。
第10条 (乙の義務)
乙は、甲に対し、本契約締結日後クロージングまでの間に、第8条に規定する表明保証に違反することとなる行為を行わず、違反の事実又はそのおそれが生じた場合、直ちにその旨並びに当該事実又はそのおそれの詳細を甲に対して通知する義務を負う。

第5章 クロージング後の取扱い

第11条 (役員退職慰労金の支払)
1 乙は、対象会社をして、クロージング後速やかに、クロージングに際して対象会社の代表取締役を辞任する甲に対して金○○円の役員退職慰労金を支払う旨の承認決議を行わせ、甲に対して当該役員退職慰労金を支払わせるものとする。
2 乙は、対象会社をして、前項の金員を、以下の銀行口座に振込送金する方法により支払わせる。ただし、振込手数料は対象会社の負担とする。
銀行支店名 ○○銀行 ○○支店
口座種別 普通預金
口座番号 ○○
口座名義人 甲
3 乙は、対象会社をして、本条に定める役員退職慰労金の支払について、法令等に従い、所要の源泉徴収を行わせる。
第12条 (対象会社の役員)
1 甲は、クロージング日付の辞任届を作成して対象会社に提出し、クロージングに際して対象会社の取締役及び代表取締役を辞任する。
2 甲は、対象会社の甲以外の全取締役及び全監査役をして、クロージング日付の辞任届を作成させて対象会社に提出させ、クロージングに際して対象会社の取締役ないし監査役を辞任させる。
3 甲は、乙がクロージング日においてクロージング後直ちに対象会社の株主総会を開催して、乙が、(i)別途指定するとおり対象会社の定款を変更し、かつ、(ii)別途指名する者を対象会社の役員に選任できるよう協力する。
第13条 (甲の義務)
1 甲は、クロージング後、乙の合理的な求めに応じて、必要な引継ぎ(決算及び税務申告に関するものを含む。)について、合理的な範囲で協力する。甲及び乙は、別途協議して、引継ぎの詳細を取り決める。
2 甲は、本契約締結後○年間は、乙及び対象会社の書面による承諾がない限り、対象会社と競業関係に立つ業務を行わず、又は第三者をしてこれを行わせない。
3 甲は、本契約締結後○年間、自ら又はその関係者を通じて、対象会社の従業員を勧誘し、対象会社からの退職を促し、又はその他何らの働きかけも行わないことを約する。
4 甲は、乙又は対象会社が、甲の表明及び保証が正確若しくは真実でなかったこと又は甲の本契約上の債務不履行に関し、第三者から損害賠償の請求その他のクレームを受けた場合、乙からの求めに応じ、当該クレームの処理につき乙又は対象会社に協力する。
5 甲は、本株式について、所有権、株主権その他の権利を主張する第三者の存在が判明した場合には、甲の費用と責任において、当該第三者が主張する本株式に関する一切の権利を消滅させる。
6 甲は、クロージング前の商取引等に関する税務調査を受けた乙から連絡を受けた場合には、相互に協力して対応する。
第14条 (乙の義務)
1 乙は、原則として、クロージング後、対象会社の従業員を全員継続雇用する。
2 乙は、クロージング前の商取引等に関する税務調査を受けた甲から連絡を受けた場合には、相互に協力して対応する。
3 乙は、対象会社をして、対象会社の債務を対象会社の役職員が保証している契約につき、当該契約の相手方と書面又は口頭による交渉を行い、当該保証の解除を合意させ、かつ、当該保証が合意解除されたことを示す書類を甲に交付するよう最大限努力する。甲が対象会社のために保証している契約について、保証債務の履行その他の損害、損失又は費用が発生した場合には、乙は、甲の損害、損失又は費用を補償する。

第6章 解除

第15条 (本契約の解除)
1 甲及び乙は、相手方に本契約に定める表明保証、義務又は約束に違反があった場合、相当期間を定めて催告し、相手方が当該期間内にこれを是正しないときは、クロージング前に限り、本契約を解除することができる。
2 甲及び乙は、前項の定めにかかわらず、相手方が、別紙1の(1)⑤及び(2)⑭に規定する第7条に基づく甲の表明及び保証に違反した場合又は別紙2の⑤に規定する第8条に基づく乙の表明及び保証に違反した場合には、相手方に対して書面で通知することで、本契約を解除することができる。
3 本契約の解除後も、第7章の規定に基づく補償の請求は妨げられない。

第7章 補償

第16条 (甲による補償)
1 甲は、乙に対し、第7条に定める甲の表明保証の違反又は本契約に基づく甲の義務の違反に起因又は関連して乙が被った損害、損失又は費用(合理的な弁護士費用を含む。以下「損害等」という。)を補償する。
2 前項の補償のうち、甲の表明保証の違反に基づく補償責任は、乙が、クロージング日から○年経過するまでに書面により甲に請求した場合に限り生じるものとし、合計損害額○○円を上限とする。
3 甲は、乙が第1項に基づく補償の請求の対象となる自らの損害等の拡大を防止するための措置を執らなかったことにより拡大した損害等については、第1項に基づく補償責任を条理上合理的な範囲で免れるものとする。
4 本契約に商法第526条の規定は適用されないものとする。
第17条 (乙による補償)
1 乙は、甲に対し、第8条に定める乙の表明保証の違反又は本契約に基づく乙の義務の違反に起因又は関連して甲が被った損害等を補償する。
2 前項の補償のうち、乙の表明保証の違反に基づく補償責任は、甲が、クロージング日から○年経過するまでに書面により乙に請求した場合に限り生じるものとし、合計損害額○○円を上限とする。
3 乙は、甲が第1項に基づく補償の請求の対象となる自らの損害等の拡大を防止するための措置を執らなかったことにより拡大した損害等については、第1項に基づく補償責任を条理上合理的な範囲で免れるものとする。

第8章 一般条項

第18条 (秘密保持義務)
1 甲及び乙は、本契約締結日から○年間、(i)本契約の検討又は交渉に関連して相手方から開示を受けた情報、(ii)本契約の締結の事実並びに本契約の存在及び内容、並びに(iii)本契約に係る交渉の経緯及び内容に関する事実(以下「秘密情報」と総称する。)を、相手方の事前の書面による承諾なくして第三者に対して開示してはならず、また、本契約の目的以外の目的で使用してはならない。ただし、上記(i)の秘密情報のうち、以下の各号のいずれかに該当する情報は、秘密情報に該当しない。
① 開示を受けた時点において、既に公知の情報
② 開示を受けた時点において、情報受領者が既に正当に保有していた情報
③ 開示を受けた後に、情報受領者の責に帰すべき事由によらずに公知となった情報
④ 開示を受けた後に、情報受領者が正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく正当に入手した情報
⑤ 情報受領者が秘密情報を利用することなく独自に開発した情報
2 甲及び乙は、前項の規定にかかわらず、以下の各号のいずれかに該当する場合には、秘密情報を第三者に開示することができる。
① 自己(甲においては対象会社を含む。)の役員及び従業員並びに弁護士、公認会計士、税理士、司法書士及びフィナンシャル・アドバイザーその他のアドバイザーに対し、本契約に基づく取引のために合理的に必要とされる範囲内で秘密情報を開示する場合。ただし、開示を受ける者が少なくとも本条に定める秘密保持義務と同様の秘密保持義務を法令又は契約に基づき負担する場合に限るものとし、かかる義務の違反については、その違反した者に対して秘密情報を開示した当事者が自ら責任を負う。
② 法令等の規定に基づき、裁判所、政府、規制当局、所轄官庁その他これらに準じる公的機関・団体(事業引継ぎ支援センターを含む。)等により秘密情報の開示を要求又は要請される場合に、合理的に必要な範囲内で当該秘密情報を開示する場合。なお、かかる場合、相手方に対し、かかる開示の内容を事前に(それが法令等上困難である場合は、開示後可能な限り速やかに)通知しなければならない。
第19条 (第三者への公表日)
1 本契約締結及びこれに関する一切の事実の対外的公表の日(以下「公表日」という。)は、○○年○○月○○日とする。当該対外的公表の方法等については、甲及び乙が協議の上決定する。
2 各当事者は、公表日まで、本契約締結及びこれに関する一切の事実について秘密保持に努めるものとする。
第20条 (公租公課及び費用)
甲及び乙は、原則として、本契約及び本契約が予定する取引に関連して発生する公租公課、アドバイザーに対する費用・報酬、その他一切の費用については、各自これを負担する。
第21条 (通知等)
本契約に関する相手方に対する通知等は、後記当事者欄記載の住所ないし所在地に対して行われる。ただし、甲及び乙は、本契約締結後、書面により相手方に通知することにより、連絡先の変更を行うことができる。本条に従い通知等がされたにもかかわらず、当該通知等が延着し又は未着となった場合、通常到達すべき日に到達したものとみなされ、その効力が発生する。
第22条 (残存効)
本契約が終了した場合であっても、第7章及び第8章(第19条を除く。)の規定は引き続き効力を有する。
第23条 (完全合意)
本契約は、本株式譲渡に関する当事者の完全な合意であり、これ以前に本株式譲渡に関して甲乙間で交わされた文書、口頭を問わず、いかなる取決め(秘密保持に関する契約を含む。)も全て失効する。
第24条 (契約上の地位又は権利義務の譲渡等)
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾を得ない限り、本契約上の地位又は本契約に基づく権利義務につき、直接又は間接を問わず、第三者に譲渡、移転、承継又は担保権の設定その他の処分をしてはならない。
第25条 (条項の可分性)
本契約の一部の条項が無効、違法又は執行不能となった場合においても、その他の条項の有効性、適法性及び執行可能性はいかなる意味においても損なわれることなく、また、影響を受けない。
第26条 (準拠法・管轄)
1 本契約は、日本法に準拠し、これに従って解釈される。
2 本契約に関する一切の紛争(調停を含む。)については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第27条 (誠実協議)
甲及び乙は、本契約に定めのない事項及び本契約の条項に関して疑義が生じた場合には、信義誠実の原則に従い、誠実に協議の上解決する。

別紙1(略)
別紙2(略)

本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
○○年○○月○○日

(住 所)
(氏 名) ㊞

(所在地)
(名 称)
(代表者) ㊞

参照:経済産業省「中小M&Aガイドライン参考資料」

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